ELSIとわたしたちの研究班について
日本は世界に先駆けて1970年代から「患者数の少ない難治性疾患」に取り組む政策を行ってきましたが、現在(2021年)では世界の国々でこうした対策が進められています。それに伴い、とくに2010年代から希少難治性疾患に関するELSI(エルシー)にも着目されるようになりました。ELSIとは、英語のEthical, Legal, Social Issuesの頭文字をとったもので、「倫理的・法的・社会的課題」のことを指します。したがいまして、希少難治性疾患のELSIとは、「希少難治性疾患に関する倫理的・法的・社会的課題」という意味になります。
わたしたちの研究班は、2020年11月より、日本医療研究開発機構(AMED)による難治性疾患実用化研究事業の一環として、世界的に着目を浴びつつある希少難治性疾患のELSI研究を進めています。研究班は医学、倫理学、生命倫理学、法学、社会学などを専門とする多様なメンバーから構成されています。研究班はそれぞれの専門を活かしながら、医学研究や治療の現場から学問で扱う理論に至るまで、希少難治性疾患のELSIについて研究を進めてきました。また、希少難治性疾患に関する支援等を行っている特定非営利活動法人ASridにも研究班に加わって頂いていますが、ASridを通じて患者や一般の方に向けて希少難治性疾患のELSIに関する情報提供等もしています。そのうえ、希少難治性疾患に関する情報提供をすでに行っているOrphanet Japanにもご協力を頂き情報を発信しています。
わたしたち研究班は、希少難治性疾患のELSIに関する研究実施体制ならびに情報発信基盤を構築することを通じて、希少難治性疾患に関する国際的なELSI研究を加速させると同時に、希少難治性疾患に関係するすべての人にとって有益となるような活動を続けていきたいと考えています。